反転増幅器を例にして説明します。入力オフセット電圧
Vio を回路図で表すと 図7−1 のようになります。

この回路を「3.反転増幅器」のところと同じように計算して行くと、

となります。
これを言葉で言えば「1+ゲイン」倍で出力に表れることになります。微小信号の場合はゲインを大きく取りますので「1」を無視して「ゲイン」倍とほぼ同じになります。さらに言い換えると、入力電圧にオペアンプの入力オフセット電圧が加算される、と言うことになります。このことは、非反転増幅器や差動増幅器にも同じことが言えます。
汎用オペアンプの場合は通常で
±2mV 程度、最大で ±7mV ありますので、0.数V 以下の入力信号を扱う場合は無視できなくなるでしょう。
7.2.入力オスセット電圧を補正する
古いオペアンプには補正端子が付いているものもありましたが、最近では一部を除いて殆どありません。
では、入力オフセット電圧はどのように補正すればよいでしょうか。
補正方法は、「+」と「−」の電源がある両電源タイプと、「+」電源しかない単一電源タイプでは少し違ってきますが、ここでは両電源タイプの場合について説明します。
両電源タイプの補正方法は、外部から入力オフセット電圧
Vio と逆の電圧 Vs を加えて Vi が「0」になるようにします。

入力オフセット電圧には個体差があって、しかも「±」がありますので、Vs
を可変にして Ei=0V の時に Eo=0V になるように調整する必要があります。

図7−3
は補正回路の事例です。
Vs1 及び
Vs2 は入力オフセット電圧の最大値の 1.5 倍程度に設定します。例えば、最大値が
±7mVの場合は 10mV程度にします。あまり大きくすると調整がやりにくくなります。
また、Rs は
R4 + R5 の値より1桁以上大きい値にします。
例えば、VCC=+10V
VEE=−10V の場合、
R3=R6=10KΩ R4=R5=10Ω
として、Rs
は 200Ω以上にします。
この様な補正回路を設計する場合は必ず基準点(この場合はグランド)に接続して下さい。回路が簡単だからと言って
図7−4 の様にしてしまうと、電源電圧の変動をまともに受けて正常に動作しなくなる恐れがあります。
