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更新2022/06/12

定電流ダイオード(CRD)の基本回路

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「特性はとりあえず理解したけど、定電流ダイオード CRDを実際にどうやって使うのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
本章では、定電流ダイオードの基本的な回路について簡単に説明します。

CRDの基本回路

LEDとCRDを接続するもっとも基本的な回路構成は以下のようなものです。
定電流ダイオードCRDを使ったLEDの基本回路
LEDとCRDを直列にする。
ただこれだけですが、CRDに印加されている電圧がCRDの許容範囲に入っていれば、この構成を守る限りLED電流を定電流化します。
多少バッテリーの電圧が変化した場合も、LEDに流れる電流がほぼ一定に保たれ輝度もほぼ一定となります。

ただし、CRDは部品1ケで定電流化してくれるので簡単そうですが、きちんと定格などを把握して使わないと、最悪「LEDが壊れる」「燃える」こともありえます。
適当に使うと危ない部品の一つです。

CRDの許容範囲

ここでいうCRD電圧の許容範囲とは、以下の式を満足する場合と言い換えることができます。
 CRDの肩特性電圧値 < LEDが光った時のCRD両端電圧 < CRDの最高使用電圧
この左側の肩特性電圧値は、「CRDの基本」にある特性グラフのd点の電圧で仕様書に記載されています。

ただし、CRDはこの電圧以下だと定電流になりません。
もっと正確にいうと、この肩特性電圧値でも電流が小さくなるため既に定電流域ではありません。
色々な変動があっても、常にこの肩特性電圧値より更に高いCRD両端電圧をキープできるよう使う必要があります。
そして、上記の式右側のCRDの最高使用電圧は、CRDが壊れない電圧ということで仕様書に記載されている値です。

CRDを使えるかどうかの判定例

さて、式としては簡単なのですが、現実問題としてはどのように考えてCRDを選択すれば良いのでしょうか?
上記のような基本構成の場合は、CRDの両端電圧は以下の式で求めることができます。
 CRD両端電圧=電源電圧-LEDの順方向電圧
具体的に以下のようにパラメーター仮定して値を入れましょう。

 LEDの順方向電圧 Vf=3.5V
 CRDの肩特性電圧値4V、最高使用電圧25V
 電源は9V
定電流ダイオードCRDを使ったLED回路例
 CRD両端電圧=9-3.5=5.5V
上記CRD両端電圧を用いてCRDの許容範囲にはいるかどうかを判定します。
 4V < 5.5V < 25V
式を満足できたので上記パラメータ値の場合はCRDの許容範囲に入ることがわかりました。
上記条件であれば、このCRDは使用できると判断できます。

最悪の組み合わせ判定は必要

現実にはパラメータは色々な原因で変動します。
各パラメーター値が変動する場合は、最悪の組み合わせとなる場合のパラメータ値を用いて許容範囲にはいるのかどうかを判定します。
例えば、CRD以外のパラメータが以下のように変動した場合を計算します。

 LEDの順方向電圧 Vf=3~4V
 電源は7~12V 
 CRD最小両端電圧=7-4=3V
次に最悪の組み合わせ時に許容範囲に入るかどうか判定します。
 4V < 3V < 25V ← 式を満足できない!
上記のように電源電圧が最小・LEDのVfが最大の組み合わせでは、許容範囲に入らないためLED電流は定電流にはならないということがわかります。

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電子回路とファームウェア専門の元エンジニアが、初心者の頃の疑問や勉強・経験で知った「そうだったのか」を2009年から書いています。

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