当サイトのコンテンツはご自身の判断と責任においてご利用ください。営利目的の転載等は固くお断りします

更新2023/11/27

RS232Cの基本

このページの項目
他を探す

まだまだ現役

RS232Cは、一昔前のパソコン通信で主役だった規格で、ほとんどのPCがRS232Cで通信できました。
最近、PCではUSBに取って代わられたRS232Cですが、カスタム品・組込系・FAではその簡単な扱いから現在でも良く使われています。

RS232Cの概要

RS232Cは、アメリカの工業団体EIAが定めた通信規格のことをいいます。
呼称名のRS232は通称で、正式名称はEIA-232と呼ばれます。
ただ、この通称のほうが業界には通りがいいので、今もほとんどの場合においてRS232で呼ばれています。
業界一般には、RS232に規格バージョンの「C」をつけたRS232Cと呼ぶことが普通です。

規格として規定されているのは、電気信号の特性・インターフェース部分(コネクタなど)の機械的特性・相互接続の機能となっていますが、あまり難しいことは考えなくても数m程度であれば、市販のICと適当な電線を配線するだけでRS232C通信ができます。
この製作する上でのお手軽さが、多少距離があるが簡単に通信したい場合などで大きな利点となっています。

バージョン

RS232の規格には、バージョンAからFまでありますが、D以後は規格内容が高級なせいか一般にあまり普及しておらず、バージョンCが最も多く使われています。

RS232CのDTEとDCE

PCなどのマスター側をデータ端末装置(DTE)、モデムなどの周辺装置をデータ回線終端装置(DCE)と呼びます。
定義上はこのような分け方となりますが、実際の現場ではほとんど使いません。

RS232Cの通信路

通信する上でありうる配線には以下の3通りがあります。
 ・単方向(Simplex)
 ・半2重(Half duplex)
 ・全2重(Full duplex)

単方向は、送信機から受信機へデータが一方向一回線のみあるような場合をいいます。
データを送りっぱなしで受け取る必要がない場合などで使用されます。

半2重は、送信機と受信機をペアでお互い持っていますが、回線が1つしかないため、自分が送信している場合は相手からのデータは受信できません。
トランシーバーということですね

全2重は、単方向が2回線ある形で、常に独立して送信・受信ができる形式です。
相互にデータのやり取りをする場合は、原則全2重となります。
この用語は、RS232以外の通信方式でも使われる用語なので覚えておくといいでしょう。

コネクタ

この規格で使用するコネクタは、Dサブ25ピンとDサブ9ピンがありますが、現在は小型のDサブ9ピンが主流です。

以下は実際のDサブ9ピンの外形です。
メス
Dサブ9ピン メス外形
オス
Dサブ9ピン オス外形
通常は、これらに外形ケースなどが付き、良く見るケーブルの形になります。

また、Dサブ9ピンは以下のように番号が振られており標準化されています。
メス番号
Dサブ9ピン メスのピン番号
オス番号
Dサブ9ピン オスのピン番号

配線例

配線は、UARTの電圧をレベル変換しただけでRS232Cとして使うことが多いので、送信・受信・GNDだけの制御線を省略した3線方式が多く使われます。
一応、RS232Cにはデータやり取りのタイミング制御用配線が規定されていますが、転送速度と受信側の処理能力が大幅にアップしている最近の機器では、タイミングを取る必要性は小さくなっています。
よって、データは流しっぱなし、受信側は来たデータを即処理という使い方が基本形なので、制御線は良く省略されます。

(PCと周辺装置を接続する場合)
RS232C配線図1
ピン間接続は同じピン番号同士を接続し、送受信ピンだけの場合は2ピン同士、3ピン同士、5ピン同士で接続するだけです。
そのため、PCと周辺装置間用のケーブルとして、ストレートケーブルと呼ばれるものが売られています。

(PCとPCを接続する場合)
RS232C配線図2
PC同士や周辺装置同士を接続するときは、ストレート接続だと送信・受信信号が衝突してしまうため、2番及び3番はお互い交差するように配線されます。
この交差から一般的には、そのためのケーブルをクロスケーブルまたはリバースケーブルと呼びます。

(延長ケーブル)
RS232C配線図3
その他に、ケーブルの長さを延長したいときに使用する延長ケーブルと呼ばれるものがあります。
こ延長ケーブルは、配線はストレートケーブルと同じですが、コネクタの雌雄がメスーオスとなります。

RS232C用のケーブルは、ほとんどは上記の組み合わせですが、なぜか時々コネクタのオスメスが上記と異なる機器も存在します。
自分が使う装置のコネクタ形状と内部配線を確認した上で、使うケーブルを自作するか調達しましょう。

電気的特性

RS232Cは、電気的な取り決めもされています。
しかし、RS232Cの回路を一から自作する場合を除き、変換ICを使えば勝手に変換するので、電圧などは気にする必要はないでしょう。
数値は参考程度にご覧ください。
・受信側インピーダンス:3kΩ~7kΩ
・ケーブルの容量+負荷の容量:2500pF以下
・送信側出力電圧:±3V~±15V(接続時)、25V以下(開放時)
・’1’判定電圧:-3V以下
・’0’判定電圧:+3V以上

1対1接続が基本

RS232Cは、1対1接続が基本です。
1対多の接続はできません。

通信フォーマット

通信フォーマットは、調歩同期式と呼ばれる方式で送受信を行います。
要は、UARTの電圧をレベル変換したものがRS232Cなので、通信フォーマットはUARTと同じになります。
RS232は、基板内利用が前提の超短距離用のUARTを、自機器以外の他の機器に接続できるようにしたハードウエア的な拡張規格と言い換えることができます。
フォーマットの詳細は下記ページをご覧ください。
参考:UARTの基本

最新

中の人

電子回路とファームウェア専門の元エンジニアが、初心者の頃の疑問や勉強・経験で知った「そうだったのか」を2009年から書いています。

▲ページの先頭へ戻る